2015年3月30日月曜日

アメリカのミュージカル劇団PHAMALYによる『The Fantasticks』を観て


恋は障壁があればあるほど燃え上がる?

隣り合う家に暮らす、幼なじみのふたり。互いの父は犬猿の仲でふたりの恋を猛反対、彼女が悪者に連れ去られそうになって!数々の困難を乗り越え、ハッピーエンド!と思いきや・・・障壁がなくなった途端、あんなに素敵に見えたお互いの“いいところ”が“嫌なところ”になって愛は冷めがち。仲が悪いように見えた互いの父は実は仲良しでふたりを結びつけるための作戦だったり、ふたりを固いきずなで結んだ連れ去りも実は仕組まれた事件だったり。現実を知ったふたりの間には、また壁が!離れたふたりはそれぞれ、さまざまな経験を重ねます。そんな毎日のなかで、悩んで、もがいて、傷ついて、苦しんで・・・ふたたび出会うふたり。さまざまな経験を経た後だからこそ、よりしなやかな自分に成長し、より相手を思えるようになっていたのでした。“生きる”って、その繰り返し!楽しいこと、いいことばかりじゃない。苦しいことも、辛いこともあるからこそ、おもしろいのです。

“痛みを知らない心は空虚だ”という登場人物の、そんな一言が響いてきます。


大阪・堺にある『国際障害者交流センター ビッグ・アイ』で、アメリカのミュージカル劇団『PHAMALY(ファマリー)』による『The Fantasticks(ファンタスティックス)』を観ました。PHAMALYは、演劇・音楽・ダンスに触れる機会が少ない障がい者や、芸術活動を望む・自己の想いや表現力を求める障がい者に対して、ミュージカルを手法に可能性を見い出し、舞台芸術から就労・自立・社会参加を実現してきた劇団です。

ヒロインの美しい歌声にうっとり。父×父のコンビネーションもばっちり&愉快なふたり組が登場するなど笑いの要素もあって。セリフはすべて英語だったので、聴覚障がいの方に対する鑑賞サポートのひとつである『要約筆記』ビジョンに表示される日本語訳と舞台上を交互に観ながらの鑑賞となりましたが、いつのまにか“交互に観ている”という感覚がなくなるほど、その世界に浸っていました。


PHAMALYによる日本公演を実現した『ビッグ・アイ』事業企画・プロデューサーの鈴木京子さん。最近、『インクルーシブシアターを目指してー「障害者差別解消法」で劇場はどうかわるか』という本をお書きになられました。『ビッグ・アイ』の舞台では、そこに集う、みんなで感動や喜びをわかち合えるようにさまざまな“鑑賞サポート”があります。たとえば、先ほどの『要約筆記』もそうですし、視覚障がいの方のためには音声ガイドがあります。登場人物のセリフだけではなく、状況や心理を思い浮かべられるよう、服装や思いを含んだ動作など丁寧に伝えています。音声ガイドを担当される方が、事前にヒアリングなどを重ねておられるからこそできること。

【鈴木さんの著書を読んでの私の感想】
http://loopdrawing.blogspot.jp/2015/03/blog-post_21.html

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